経営が「しんどい・きつい」と感じる社長が直面している問題
経営がしんどい、きついと感じる瞬間は、どんな社長にも訪れます。むしろ、事業を続けていれば避けられない“通過点”と言ってもよいでしょう。この記事では、多くの社長が共通して抱える苦しみを整理し、あなたが今置かれている状況を言語化していきます。
まず表面化しやすいのが資金繰りの問題です。
売上の遅れや予期しない出費が重なり、手元資金が急速に減っていく。入金より出金の方が先に来る、そのたった数日のズレが精神を追い詰めます。また、売上の低迷が続くと「打つ手がないのではないか」という無力感が強まり、判断が鈍ることも珍しくありません。
次に深刻なのが人材の問題。
採用がうまくいかない、育てても辞めてしまう、既存メンバーの士気が下がる。そのたびに社長自身が現場を支えざるを得ず、気力と体力が枯渇していきます。本来やるべき「経営」に集中できない焦りが蓄積します。
さらに、多くの社長が口にしないものの、最も重くのしかかるのが“孤独”という問題です。
従業員には言えない、家族にも心配をかけられない、同業者にも弱音を吐けない。判断を下すのは常に自分ひとりで、正解の見えない状態で意思決定を続ける疲労は、想像以上に精神を蝕みます。
そして最後に、意思決定疲れという見えにくい問題があります。
小さな判断、大きな決断が毎日絶え間なく押し寄せると、思考が濁り、冷静さが失われます。気づけば「なんとなく目の前の作業をこなしているだけ」という状態に陥り、悪循環が始まります。
これらの問題は、あなた一人だけが直面しているものではありません。多くの社長がどん底の時期に同じ苦しみを抱え、そこから抜けてきています。まずはそのことを知っていただければと思います。
どん底は社長なら誰でも訪れる
経営がきつい状況にいると、孤独に感じることが何より辛いものです。誰にも言えない苦しさを抱えたまま毎日を過ごすと、精神的な圧迫が積み重なり、冷静さを失ってしまうこともあります。
私自身、20年間の経営の中で一度だけ、本気で「終わるかもしれない」と思った時期があります。予定していた大口の入金が飛び、数日後には支払いが迫っていました。資金繰り表を何度見ても数字は動かず、夜中に会社に一人残り、机に突っ伏して動けなくなったのを今でも覚えています。
そのときの感情は、恐怖というより“無音”でした。頭が回らず、心臓の音だけが響いてくるような感覚です。「どこで間違えたのか」「どうすればいいのか」が全く掴めず、とにかく時間が止まってほしいと願っていました。
だからこそ、あなたが今感じている焦りや不安、孤独感は痛いほど理解できます。経営がしんどいと感じるのは、あなたが弱いからではありません。むしろ、会社を守ろうと必死に戦っている証拠です。
どん底を抜けきった社長たちの共通する考え方
私が20年の間に関わってきた多くの経営者を見てきましたが、経営がしんどい時期を乗り越えた社長には4つの共通点がありました。ここでは、そんな社長たちの思考を共有していきたいと思います。
1人目:数字から逃げない「事実直視型」の考え方
どん底期の経営者ほど、数字を見るのが怖くなります。しかし、現実を直視することこそ回復の起点です。資金繰り、売上、粗利、固定費。これらの数字を正確に見ることで、打つべき手は初めて見えてきます。
とある社長Aは、毎朝10分だけ数字を見る習慣をつくったと仰ってました。資金繰り表を更新し、必要な支払いを確認し、売上見込みを現実的なラインに修正する。たったこれだけのことですが、状況が曖昧なまま焦るより、明確な現実を把握した方が恐怖は和らぎます。
経営がしんどい時ほど、数字を“情報”ではなく“感情”として受け取ってしまいます。だからこそ、淡々と数字を見て事実を把握することが回復の第一歩になるのです。
2人目:感情と経営を切り離す「淡々思考」
2人目の社長は「感情は経営のノイズになる」と考えていました。もちろん、感情そのものが悪いわけではありません。ただ、焦りのまま判断すると、不要な値下げ、不合理な投資、無意味なサービス拡張など、誤った決断につながりやすくなります。
淡々思考とは、“感情を否定する”のではなく“感情と距離を置く”ことです。どれだけ経営がきつい状況でも、「今日やるべきことを3つだけ決める」「事実と推測を分けて考える」といった習慣で冷静さを保っていたと言っていました。
感情に振り回されない社長は、逆境でも迷いが少なくなります。これはどん底期こそ必要な思考です。
3人目:小さな勝ちを積む「ミニマム成功戦略」
どん底期は「大きな成果」を狙うよりも「小さな勝ち」を積み上げる方が確実です。社長Cは、新規顧客100件ではなく「今週は3件だけ」、商品リニューアルではなく「1つの改善だけ」と、目標を極端に小さくしました。
その結果、行動量が安定し、小さな成功が積み重なり、自信と余裕が戻ってきました。経営がしんどいときほど、“できることの最小単位”に落とし込むことが重要なのです。
4人目:信頼できる相手に弱さを見せる「相談前提思考」
どん底期の社長ほど相談できずに孤独になりがちですが、これは最も危険です。判断の質が落ち、誤った決断をしやすくなるからです。
私自身、過去に税金を納められない状況に陥ったことがあります。怖さと恥ずかしさで誰にも言えませんでしたが、思い切って税理士に相談した瞬間、状況が大きく動きました。支払いスケジュールの調整、資金繰りの見直し、金融機関への相談など、具体的な道が次々と見えたのです。
社長に必要なのは「強さ」ではなく「相談できる関係性」です。弱さを見せられる相手を持つことは、経営を継続するうえで最大の武器になります。
これらの考え方を「自分の状況」に落とし込む具体プロセス
ここからは、紹介してきた思考法を実際の行動に落とし込むためのステップを示します。今日・1週間・30日の3段階に分けることで、無理なく再現できます。
今日やること:数字の棚卸し(=事実直視の第一歩)
まずは「現実を正しく知る」ことから始めます。以下の項目を今日中に整理してください。
- 手元資金の残高
- 今月・来月の入金予定
- 支払い予定(税金・家賃・仕入など)
- 売上の最低ライン(生活費・固定費を維持するために必要な額)
資金繰り表は完璧である必要はありません。まずは「おおよそでも全体像がつかめる状態」を作ることが重要です。
1週間以内にやること:経営課題を3つに絞る(=淡々思考で迷いを消す)
経営がきつい時ほど、やるべきことが多すぎて動けなくなります。そこで、課題を3つだけに絞り込みます。
絞る基準は次の通りです。
- 利益への影響が大きいか
- 自分がすぐに動けるか
- 外部要因に左右されにくいか
課題を減らすことで動きやすくなり、結果的に進捗が加速します。これはどん底期にこそ必要な戦略です。
30日以内にやること:1つの小勝ちを作る(=ミニマム成功戦略で流れを変える)
ミニマム成功戦略を実践するため、30日の中で「1つだけ成果を作る」ことを目標にします。
おすすめの行動は以下の通りです。
- 既存顧客への提案営業(最も成果が早い)
- 商品・サービスの1つの改善
- 放置していた見込み客への連絡
- 広告や施策を停止し、利益率を改善する
小さな成果でも、どん底状態を抜け出す強力なエネルギーになります。
経営がしんどい社長へ最後に伝えたいこと
今、あなたが感じている苦しさは永遠に続くものではありません。実際、私がこれまで見てきたどの社長も、しんどい時期を乗り越えた後は驚くほど強くなっています。
経営は「状況」より「思考」と「行動」が未来を決めます。今日数字を整理する。1週間で課題を絞る。30日で小さな成果を作る。これだけでも流れは確実に変わります。
不安があって当然です。怖くて当然です。ですが、あなたはこれまで多くの困難を乗り越えてきたはずです。今回も必ず抜けられます。
まずは今日、ほんの一歩だけ動いてみてください。その一歩が、どん底から抜ける入り口になります。
※記事の真偽性及び、記事の内容を実行した場合の効果などを保証するものではありません。こちらの情報は、ご自身の自己責任でご活用ください。


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